名作と聞き及びつつプレイする機会を逃していたこの作品、リメイクされたタイミングでプレイしてみました。
ゲーム自体は「アクションをそぎ落としたゼルダ」的な感じ。いけにえとしてお城に連れてこられたICOが謎の少女を助けようとしてお城の謎を解きつつ先へ進んでいくんだけれど、この謎が本当におみごと。同じ城の中の配置が実によくできていて、ゼルダにあるような「上のフロアで操作しておいたことがあとで下のフロアに影響している」なんていうつながりがすごくよくできている。そのぶん敵との戦いはかなりオマケレベルで、女の子を連れ去ろうとする敵を棒で叩いて追い払うだけ。戦うと言うより「女の子を放置しておくと連れていかれるよ」という時間制限に近い存在のバトルです。まあ最後のボスはそれでも結構ちゃんと戦うわけですが。
そして評判の高かった映像美もさすがのデキ。グラフィックもキレイなんだけど、それ以上にゲーム画面に何のアイコン表示もされないという絵のような世界がすばらしかった。武器なんて隠し武器を入れても3種類しかないし、主人公が持っているグラフィックですべては判別できる。いかにもゲームというアイコンやゲージみたいな物を一切排除することで物語感が高められていて、本当に絵本の中に入り込むような感覚のあるゲームでした。
とはいえその一方でゲーム性としては微妙なところもあって、画面が暗すぎて出口がわからないとか、操作感がいまいちしっくり来なくて前に飛びたいのに横に飛んでしまってゲームオーバーとか、そういうところにちょっとしたストレスが溜まることも。特にラストステージのぐるぐる回るパイプは厳しかったぜ……。
ストーリーは最初のうち納得いかなくて、ICOが勝手に助けようとしている女の子は果たしてそれを望んでいるのかいまいちわからず。特に女の子の母親が出てきて「余計なことするな」と言われるのにも関わらずそれでも女の子と連れ回すあたりは「いや母親が言ってるんだから放っておけよ……」と思わないでもなかったんだけど、2周目プレイしてみて合点がいった。いくら母親とはいえ、女の子を檻に入れて閉じ込めておくような人の言うことは信用できないし、そういう一本気なところがICOらしさなんだよなあと。
ストーリーよりも世界観に浸れるグラフィックやシステムが秀逸で、そして巧妙に張り巡らされた謎がおみごとな他にはないジャンルのゲーム。謎自体に詰まらなければプレイ時間は10時間もいかない程度で、週末さくっとクリアできる内容だと思います。
一方、続編でもあり同じくリメイクされた「ワンダと巨像」は序盤少しプレイしたところで頓挫中。ICOよりもアクション要素が強まって操作が複雑になったことでICOの良さが薄れている感があるのと、操作性の悪さは相変わらずなのでバトルが辛いんだな……。巨像と戦うという迫力は確かにすごいし面白い体感ではあるのですが、若干食指が動きにくいというのが正直なところ。とはいえまだ序盤で躓いているのでがんばって先に進めたいとは思います。
ちなみにまだ売っているようであれば、ICOとワンダの巨像がセットになった限定版がお値段的にオススメですよ。
ICO/ワンダと巨像 Limited Box (特製ブックレット、プロダクトコード同梱)